長野県須坂市でひと仕事を終えたあと、国道403号を長野市内方面へ向けて走っていると、まるで吸い寄せられるかのように神社にたどり着いた。
墨坂神社。

須坂市内には墨坂神社は八幡と芝宮の2カ所ある、とは後に知ることになるのだが、
今回訪れたのは八幡の方だ。


古代、大和の部族が移住する際に大和国宇陀郡榛原(現:奈良県宇陀市榛原)から日本最古の健康の神.とされる墨坂神を遷祀したそうだ。
天武2年(西暦860年)のこと。
さらに
貞観2年(西暦860年)には京都の岩清水八幡宮より八幡神を勧請していらい、須坂八幡宮と称するようになった。
なるほど。2つある墨坂神社のうち、こちらが八幡と呼ばれる理由に納得。
『延喜式』という平安時代の書物に出てくるそうなので、1200年近くもの間、地元の人たちからの信仰を集めている由緒ある神社なのだ。
最強の騎馬軍団を操った戦国武将・武田信玄が武運長久の祈願状を寄せたことも。

日本初の全国地図を作製した伊能忠敬がこの地を測量したのは1814年5月4日のことだ。

墨坂神社拝殿屋根の彫刻美


墨坂神社の拝殿にたどり着き、参拝を済ませる。

ふと拝殿屋根の上の装飾に目を奪われた。
こりゃあ凄い!
あまりにもマニアックすぎるだろう。
ただし必見の価値ありなので、紹介させていただく。
せっかくなので、コンパクトカメラを取り出して、いろんなアングルから撮影してみた。









以上。
いつ頃からこんなにスゴイ彫刻があるのか、関係者不在のために訊くことはできなかった。
墨坂神社の御祭神
こちら長野県須坂市の御祭神。
墨坂大神
帯中津日子尊(仲哀天皇)
気長足姫尊(神功皇后)
品陀和気尊(応神天皇)

墨坂神社の御朱印

墨坂神社の御朱印がこちら。
先ほども言ったように、御札授与所は無人。
直接いただくことは出来なかったので、窓ガラスに貼ってあった御朱印を撮影しておいた。

墨坂神社の境内末社

【弁天社】
墨坂神社の祭神は市杵島姫命(いちきのしまひめのみこと)。
ただし神仏習合の影響で弁天社の伝承で呼ばれている。弁天(弁財天)は用水・福財・管弦の神様で七福神のひとつ。
江戸時代に墨坂神社では日市、馬市が盛大に行われており、その座元(主催者)が建立したと伝わっている。
石祠の側面に『元禄年間に建てられた石祠を天明元年(西暦1781年)に再建した』との意が、願主・座元の名とともに刻まれている。

【祖霊社】
墨坂神社の神主を務めてきた山岸社家の先祖を祀った神社。
神仏分離の気運の中、天保七年(西暦1836年)に創建された。
祭神として山岸大祖のほか、京都・石清水八幡宮の高野大祖、大和榛原墨坂神社坂戸大祖をともに祀っている。

【若宮社】
祭神は大雀命(おおささぎのみこと)=第16代仁徳天皇であり、八幡三神のひとつ品陀和気命(ほんだわけのみこと)=第15代応神天皇の若宮(本宮に対して子にあたる神)。

【高良社(こうらしゃ)】
祭神…武内宿祢命(たけのうちすくねのみこと)
武内宿祢命は景行(けいこう)・成務(せいむ)・仲哀(ちゅうあい)・応神(おうじん)・仁徳(にんとく)の五朝に仕えた伝説的人物。
墨坂神社の八幡三神(仲哀・応神・神功皇后(じんぐうこうごう))と関係が深く、奈良西南部の蘇我氏等の祖とされ、神格化されたといわれている。
この高良社は、明治17年、南原にあった社殿を移設した。
高良社の本社は福岡県久留米市にあり、延命長寿、安産子育て、また農業の守護神とも仰がれている。

【養蚕社】
祭神…大宣津比売命(おおげつひめのみこと)
古事記によれば、大宣津比売が亡くなった後、米麦大豆など五穀のほか蚕が生まれたので、特に養蚕神として祀るようになった。
墨坂郷は明治・大正・昭和には養蚕が主産業であったから、養蚕社を創建した。
社殿は明治41年、屋部の秋葉社の社殿を運んできて、火産霊神(火の神)は、本殿に合祀し新たに大宣津比売を祀り、養蚕社とした。


【墨坂神社の境内末社】
●飯綱社(祭神=宇気母知命 うけもちのみこと)
長野県の飯綱山頂にある武芸 修験道の神
●諏訪社(祭神=建御名方命 たけみなかたのみこと)
諏訪大社(長野県・諏訪湖周辺の4社) 五穀豊穣の神
●松尾社(祭神=大山乍命 おおやまいくのみこと)
松尾大社(京都市西京区嵐山宮町) 農業・酒の神
●山神社(祭神=大山祇命 おおやまつつみのみこと)
大山祇神社(愛媛県今治市大三島町) 山、木、風の神
●稲荷社(祭神=宇賀魂命 うがたまのみこと)
伏見稲荷大社(京都市伏見区深草薮之内町) 穀物商売の神
●天神社(祭神=菅原道真命)
北野天満宮(京都市上京区) 学問の神
●伊勢社(祭神=天照大神 豊受大神)
伊勢神宮(三重県伊勢市) 皇室の祖先神
墨坂神社境内の公園
墨坂神社境内にある公園。
雨上がりの夕刻なので、誰もいなかった。


境内には樹齢500年にも達するケヤキも見られる。

墨坂神社の駐車場
参拝者の駐車場は2カ所ある。
いずれも無料。
こちらは国道403号沿い、八幡町交差点にある参拝者駐車場。

2台停めるのが限界。3台目をここにムリして停めるくらいなら、
長者町通りに添って50mほど北上しよう。

こちらの駐車場は、かなり広い。
断っておくが、舗装されていないので、雨の日は要注意だ。
墨坂神社のアクセス
長野電鉄長野線・須坂駅から約800m。徒歩10分ほど。
上信越自動車道・須坂長野東インターチェンジから約1km。車で10分ほど。
墨坂神社
住所:〒382-0099 長野県須坂市墨坂1丁目8−5
電話:026-245-5763